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執筆者の写真GAYA不動産

Netflixで話題のドラマにも登場する「地面師」の手口とは?!騙されないために気を付けること



Netflixで話題のドラマ「地面師たち」、

このドラマは2018年に起こった「積水ハウス地面師詐欺事件」をモデルにしたドラマとなっています。


積水ハウスのような大企業が55億円もの巨額の金額を騙し取られた事件は、

社会に衝撃を与え、「地面師」という言葉が広く知られるようになりました。



 

「積水ハウス地面師詐欺事件」の概要


「積水ハウス地面師詐欺事件」とは、

東京・西五反田、約600坪という広さの「海喜館」という旅館を営んでいた土地をめぐって詐欺事件が起こりました。

地面師グループはこの土地の所有者になりすまし、積水ハウスと購入代金63億円の売買契約を結びます。

巧妙な手口で印鑑証明書や委任状、本人確認書類等を偽造し、売買契約を締結し、

所有権移転仮登記後、積水ハウスは購入代金の大半を支払い、所有権移転登記をしました。

しかし、しばらくして法務局より却下の連絡が入り、詐欺事件が明るみになりました。




積水ハウスのような大企業が騙された要因はいったい何だったのでしょうか。

いくつもの状況が重なり、詐欺が成功してしまったようです。

具体例をみていきましょう。


 

要因①土地の権利関係が把握できていなかった

対象となった土地は戦前から引き継がれ旅館として営まれていた古い土地です。

このような古い土地は権利関係を管理している書類が手元にない、

親族や関係者も昔の事情を知っている人がいない、

という状況はあり得ます。


実際に東京・西五反田、約600坪の「海喜館」の土地の所有者はすでに亡くなっており、

所有者が親族に移っていることを当の親族ですら知らなかったようです。

相続による所有権移転登記もなされておらず、権利関係を把握するのが困難な状況となっていました。

古い土地の権利関係が曖昧になっている状態と予測できるものに関しては、

現在の所有権がどのようになっているか等の調査が必要であったといえるでしょう。



要因②タイミング

土地の所有者が入院をしていて対象の物件を留守にしているタイミングで、

偽の地主、仲介業者、積水ハウスとの面談が執り行われたとされています。

また、その際に「購入希望者がたくさんいるのでスピード勝負」

「地主の内縁の夫が不仲で内密に」等の嘘の情報を流し、

積水ハウスが社内決済を早めたり、周辺の聞き込み調査をさせないように心理的な操作があったと見られます。



要因➂周辺への聞き込み調査を怠った

積水ハウスの地面師事件において、

報道関係者が地面師グループのなりすまし役の写真を

周辺の住民に聞き込み調査を行った際、「所有者と顔が違う」との証言を

得ていたそうです。

積水ハウスも物件の購入前に事前に聞き込み調査を行うべきでした。

今回の場合、「売りに出していることを近所に知られたくない」というような

売主サイドの意向や

「他の不動産会社に情報が漏れて、競合を増やしたくない」等の心理が働き、

周辺への聞き込み調査を怠ったとみられます。



要因④法改正で権利書なしでも移転登記ができるようになったことを利用

積水ハウスの地面師事件で、

残金決済前の打合せで地面師グループは権利証を持参しませんでした。

売主の女性の内縁の夫が不仲で、内縁の夫が権利証を持っていて渡してもらえないという

口実を利用し、

また、2005年不動産登記法改正で認められた、”弁護士作成の本人証明で移転登記する”という新方法で行うことを利用しました。

積水ハウスはこの内容も受け入れ、契約を進める事になってしまいます。



権利証を紛失した場合でも代替え措置として、法改正された新方法で、不動産売買が可能ですが、一般的には権利証(登記済証)は売却による所有権移転登記で必要になります。

必要な理由として、

①不動産の所有者を確認するため

②売却する際に移転登記が必要なため

が挙げられます。

売主が権利証を持っていない、紛失した等の場合は、本当に紛失してしまって無いのか等、

慎重に調査してみる必要があるかもしれません。


 

積水ハウスの事件は巨額の金額、大手企業が狙われた規模の大きな詐欺事件でしたが、

大企業だけが狙われるということではありません。

不動産取引は大きなお金が動く以上、詐欺グループに狙われやすいの事実です。

どのような場合に注意が必要か、みていきましょう。

(参考:公益社団法人不動産流通推進センターから提供されている、「不動産売買における疑わしい取引のチェックリスト」)



①現金の使用形態

・多額の現金により、宅地または建物を購入しようとしている

(契約者の収入、資産等の属性に見合わない高額物件の購入、

決済方法を現金取引にこだわる、等)


・短期間に複数の売買契約が繰り返され、代金を現金で支払い、その総額が多額な場合


②真の契約者を隠匿している可能性

・売買契約が架空名義や借名で締結された疑いがある場合

・取引関係書類への署名を拒む場合

・取引の関係書類(申込書、重要事項説明書、売買契約書等)それぞれに異なる名前を使⽤しようとしている場合

・売買契約の契約者である法⼈の実体がない、との疑いがある場合

・顧客の住所と異なる場所に、関係書類の送付を希望している場合


➂取引の特異性(不⾃然さ)

・宅地または建物の購⼊後、

短期間のうちに当該宅地または建物を売却しようとしている場合

・経済合理性から⾒て、異常な取引を⾏おうとしている場合

(例:売却することを急ぎ、

市場価格を⼤きく下回る価格での売却でも厭わないとする場合等)

・短期間のうちに複数の宅地または建物を購⼊するにもかかわらず、各々の物件の場

所、状態、予想修理費等に対してほとんど懸念を⽰していない。

・ (取引の規模、物件の場所、顧客が営む事業の形態等から⾒て、)当該顧客が取引の対象となる宅地または建物を購⼊または売却する合理的な理由が⾒出せない。


上記に当てはまる取引の場合は取引相手をしっかりと調査した上で、

慎重に進めるのが良いでしょう。






おわりに

 

地面師詐欺は企業相手に限ったことではありません。

むしろ個人の方が不動産に関する専門知識を持っておらず、

標的にされた場合は、詐欺被害にあう可能性は高いといえるでしょう。


専門知識のない一般のお客様が安心して取引ができるよう不動産会社は宅建業法という法律において、しっかりと規制がされています。

それでも、信頼していた不動産仲介業者が巧妙な手口で騙されてしまう等の可能性も考えられるので、取引の相手方の調査、取引の特異性が無いか、取引の流れ等、

しっかりと検討したうえで、取引をしていく事が大事だといえるでしょう。

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